時間外・休日労働協定(第36条、第60条、第133条)


1.

 労働者に時間外労働又は休日労働を行わせるには、労働者代表との書面による協定(いわゆる36協定)を締結し、これを所轄労働基準監督署に届け出なければなりません。労使は、時間外労働協定を締結するに当たり、延長時間は最も長い場合でも下記4に示す上限時間以内とするようにしてください。

 記入要領については、リーフレット「36協定届の記入例と注意事項」を参考にしてください。

 なお、18歳未満の者については、時間外・休日労働をさせることはできません。

 妊産婦が請求した場合は、時間外・休日労働の全部または一部について労働させることができません。

2.

 協定当事者である労働者の過半数を代表する者の要件及び不利益取扱いの禁止については次のとおりです。

【労働者過半数代表者の要件等】

趣旨

 時間外・休日労働協定に限らず法定の労使協定等の労働者の過半数代表者は、過半数労働者の意思を的確に反映する者が選出されるように、従来から、選出方法、当該事業場のおける職制上の地位について通達により示してきましたが、平成11年4月1日から労働基準法施行規則第6条の2でこれらの要件を明示しました。また、使用者の意に沿わない過半数代表者が不利益な取扱いを受けたり、不利益な取扱いを恐れて過半数代表者が選出できなくなるようなことが生じないように、使用者が過半数代表者等に対し不利益取扱いをしないようにすることを併せて定めました。

対象

(1)労使協定
(2)就業規則届に添付する意見書

要件

(1)法第41条 謔Q号に規定する監督又は管理の地位にある者ではないこと。
(2)労使協定締結等を行う者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続きにより選出された者であること。

不利益取扱いの禁止

 使用者は労働者が

(1)過半数代表者であること
(2)過半数代表者になろうとしたこと
(3)過半数代表者として正当な行為をしたこと

 を理由として不利益な取扱い(解雇、降格、昇給延伸、賃金の切り下げ、賞与のカット等)をしないようにしなければなりません。

3.

 労使は、時間外労働協定を締結するに当たり、法第36条第2項により労働大臣が定めた時間外労働の上限等の基準を守る義務がありますので必ず遵守してください(法第36条第3項)。

 なお、この基準を守らない労使に対しては、所轄の労働基準監督署長が第36条第4項に基づき基準を守るように助言指導を行うこととなっています。

4.

時間外労働の上限等の基準は次のとおりです。

(1)業務区分の細分化

 労働時間を延長する必要のある業務の種類について定めるに当たっては、業務の区分を細分化することにより当該必要のある業務の範囲を明らかにしてください。

(2)一定期間の区分

 一定期間についての延長時間を定めるに当たっては、当該一定期間は1日を超え3か月以内の期間及び1年間としなければなりません。なお、1年間について延長時間を必ず定める必要があることから、協定の有効期間は1年としてください。

(3)一定期間についての延長時間の限度

期 間

右欄以外の労働時間制

対象期間が3か月を超える1年単位の変形労働時間制

1週間

15時間

14時間

2週間

27時間

25時間

4週間

43時間

40時間

1ヶ月

45時間

42時間

2ヶ月

81時間

75時間

3ヶ月

120時間

110時間

1年間

360時間

320時間

1週間未満

15時間に当該日数を7で除して得た数を乗じて得た時間

14時間に当該日数を7で除して得た数を乗じて得た時間

1週間超

2週間未満

27時間に当該日数を14で除して得た数を乗じて得た時間

25時間に当該日数を14で除して得た数を乗じて得た時間

2週間超

4週間未満

43時間に当該日数を28で除して得た数を乗じて得た時間(27時間を下回るときは27時間)

40時間に当該日数を28で除して得た 狽乗じて得た時間(25時間を下回るときは25時間)

1ヶ月超

2ヶ月未満

81時間に当該日数を60で除して得た数を乗じて得た時間(45時間を下回るときは45時間)

75時間に当該日数を60で除して得た数を乗じて得た時間(42時間を下回るときは42時間)

2ヶ月超

3ヶ月未満

120時間に当該日数を90で除して得た数を乗じて得た時間(81時間を下回るときは81時間)

110時間に当該日数を90で除して得た数を乗じて得た時間(75時間を下回るときは75時間)

 

1)

【特別協定】あらかじめ、限度時間を超えて労働時間を延長しなければならない特別の事情が生じた時に限り、一定期間についての延長時間を定めた当該一定期間ごとに、労使当事者間において定める手続きを経て、限度時間を超える一定の時間までの労働時間を延長することができる旨を定めることができます。

2)

【適用除外】次の事業等は適用が除外されます。
@工作物の建設等の事業。A自動車の運転の業務。B新技術、新商品等の研究開発の業務。C季節的要因等により事業活動若しくは業務量の変動が著しい事業若しくは業務又は公益上の必要により集中的な作業が必要とされる業務として労働省労働基準局長が指定するもの。

5.

 女性については、平成11年4月1日より時間外労働に関する規制が廃止されましたが、改正労働基準法第133条により、平成14年3月31日までの間は、

  • 育児(小学校就学の始期に達するまでの子の養育)
  • 介護(負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態にある配偶者、父母若しくは子、配偶者の父母、または、同居、かつ、扶養している祖父母、兄弟姉妹、孫の介護)

を行う女性で使用者に申し出た者に関しては、一定期間についての延長時間の限度は下表のとおりとなります。

事業

期間

限度時間

工業的業種(1号〜5号)

1週間

6時間

1年間

150時間

林業(6号)、商業(8号)、金融広告業(9号)、映画演劇業(10号)、通信業(11号)、教育研究業(12号)、清掃・と畜業(15号)等

4週間

36時間

1年間

150時間

保健衛生業(13号)
接客娯楽業(14号)

2週間

12時間

1年間

150時間

※( )の号数は労働基準法別表第1で定める業種の号数である。

6.

 時間外・休日労働協定届の様式は様式第9号のほかに、事業場外労働を含む様式第9号の2、労使委員会や労働時間短縮推進委員会の議決時に用いる様式第9号の3、第9号の4があります。


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